#118 落語家
三遊亭 美るくさん
公開:2017.02.21
はじめて憧れる女性に出会い、
落語家の弟子入りを果たす!
区内在住の二ツ目・三遊亭美るくさんは、自分の落語を確立するため元気いっぱい修業に励む日々。2016年10月に開催された「第6回 ねりま・エコスタイルフェア」の会場で、エコなことを落語から学ぼうという主旨で、演目「だくだく」を披露。明るい声、軽快なリズムの落語に会場が華やぎました。
「青空のもと、トラックのミニステージで落語をするのは初めのこと。たいていは室内でするものだから、貴重な経験ができました(笑)」と、屈託のない笑顔で話す美るくさん。
落語の世界で女性は極めて少なく、全体の1割もいません。やはり一番気になるのは、どんなきっかけで落語家を目指したのか? ということ。まずはそこからお聞きしました。
「大学を卒業し、某IT企業に就職して父親も喜んでくれたのですが、なかなか社風に馴染めなくて…。そんな時、気分転換にと演芸好きの友人が新宿末廣亭の寄席に連れて行ってくれたんです。初めて落語を見たのですが、ツボにはまってゲラゲラ笑いました。それから、休日は朝から晩まで寄席通いです」
そんな折り、三遊亭歌る多(かるた)師匠の高座を聴いて、人生の目標を見つけたと言います。
「歌る多師匠はすっと立ち上がり、『奴さん』を踊ったんです。その潔さを見て、『粋だな、かっこいい!』と思いました。すぐさま歌る多師匠の弟子になろうと決意。自分を追い込むためにも、まず会社を辞めました」
当時26歳の美るくさん。弟子になるには、どうすればいいのか…。何もわからないまま履歴書を書いて、リクルートスーツで、歌る多師匠の門戸を叩いたそう。
「弟子にしてくださいと言うと、歌る多師匠は私を喫茶店に連れて行き、『落語は女の世界じゃない、やめておきな』と諭されました。それでも食い下がると、親を説得できたら認めると言われ、故郷から父親を連れてきて説得。父親も師匠の前で『やりたいことをやれ』と私に言ってくれました」
望み通り落語家への一歩を進みましたが、当時のお客さんは、女性が登場するだけで卑わいな罵声を浴びせることが度々ありました。そんな時、美るくさんは野次にも負けず高座をこなしたというから、なかなか根性が据わっていますね!
“芸は人なり”…礼儀作法や
生活の大切さを教えられる
落語は、前座、二つ目、真打ちへと進む、年功序列の厳しい世界。そんな中、一度の出来心で破門になったことがありました。
「見習いや前座のうちは、朝は師匠の家の掃除から始まり、楽屋に行って、めくりやお茶出しなどをします。うちの一門は特に、前座は落語よりも気働き優先で、お稽古は二の次。だから、お掃除中にブツブツ言いながら覚えるのが基本でした。一度だけ、サボってしまったことがあり、これが師匠にバレて…。頭を坊主にして謝りに行きました」
美るくさんにとって、歌る多師匠はどんな存在なのでしょうか。
「私は父子家庭で育ったので、本当の母親のように感じています。心を鍛えるために怒鳴ったり、怒ったりしてくれる存在。“芸は人なり”、礼儀作法や生活がいかに大切か。そのまま落語に出てしまい、お客様には伝わってしまうんだよ、と。師匠曰く『数少ない女流落語家に自分と同じようなタイプがいてもしょうがない。自分の個性を確立しなさい』ということです」
落語界に飛び込んで10年が経ちましたが、今後の展望を教えてください。
「片親で貧乏だった子供時代ですが、そんな暗いことも明るい話にできるじゃないですか、落語って。だから大好きなんです。おばあちゃんになったら、下ネタもできるようなかっこいい落語家になっていたい(笑)」
練馬に住んで十数年、大泉落語研究会やIMA寄席、エコスタイルフェアなど地元のつながりもでき、「いつかは自分が主催して地元で寄席を開きたい」と抱負を語ってくれました。その日を楽しみにしています!
(2017年2月21日)
落語家の弟子入りを果たす!
区内在住の二ツ目・三遊亭美るくさんは、自分の落語を確立するため元気いっぱい修業に励む日々。2016年10月に開催された「第6回 ねりま・エコスタイルフェア」の会場で、エコなことを落語から学ぼうという主旨で、演目「だくだく」を披露。明るい声、軽快なリズムの落語に会場が華やぎました。
「青空のもと、トラックのミニステージで落語をするのは初めのこと。たいていは室内でするものだから、貴重な経験ができました(笑)」と、屈託のない笑顔で話す美るくさん。
落語の世界で女性は極めて少なく、全体の1割もいません。やはり一番気になるのは、どんなきっかけで落語家を目指したのか? ということ。まずはそこからお聞きしました。
「大学を卒業し、某IT企業に就職して父親も喜んでくれたのですが、なかなか社風に馴染めなくて…。そんな時、気分転換にと演芸好きの友人が新宿末廣亭の寄席に連れて行ってくれたんです。初めて落語を見たのですが、ツボにはまってゲラゲラ笑いました。それから、休日は朝から晩まで寄席通いです」
そんな折り、三遊亭歌る多(かるた)師匠の高座を聴いて、人生の目標を見つけたと言います。
「歌る多師匠はすっと立ち上がり、『奴さん』を踊ったんです。その潔さを見て、『粋だな、かっこいい!』と思いました。すぐさま歌る多師匠の弟子になろうと決意。自分を追い込むためにも、まず会社を辞めました」
当時26歳の美るくさん。弟子になるには、どうすればいいのか…。何もわからないまま履歴書を書いて、リクルートスーツで、歌る多師匠の門戸を叩いたそう。
「弟子にしてくださいと言うと、歌る多師匠は私を喫茶店に連れて行き、『落語は女の世界じゃない、やめておきな』と諭されました。それでも食い下がると、親を説得できたら認めると言われ、故郷から父親を連れてきて説得。父親も師匠の前で『やりたいことをやれ』と私に言ってくれました」
望み通り落語家への一歩を進みましたが、当時のお客さんは、女性が登場するだけで卑わいな罵声を浴びせることが度々ありました。そんな時、美るくさんは野次にも負けず高座をこなしたというから、なかなか根性が据わっていますね!
“芸は人なり”…礼儀作法や
生活の大切さを教えられる
落語は、前座、二つ目、真打ちへと進む、年功序列の厳しい世界。そんな中、一度の出来心で破門になったことがありました。
「見習いや前座のうちは、朝は師匠の家の掃除から始まり、楽屋に行って、めくりやお茶出しなどをします。うちの一門は特に、前座は落語よりも気働き優先で、お稽古は二の次。だから、お掃除中にブツブツ言いながら覚えるのが基本でした。一度だけ、サボってしまったことがあり、これが師匠にバレて…。頭を坊主にして謝りに行きました」
美るくさんにとって、歌る多師匠はどんな存在なのでしょうか。
「私は父子家庭で育ったので、本当の母親のように感じています。心を鍛えるために怒鳴ったり、怒ったりしてくれる存在。“芸は人なり”、礼儀作法や生活がいかに大切か。そのまま落語に出てしまい、お客様には伝わってしまうんだよ、と。師匠曰く『数少ない女流落語家に自分と同じようなタイプがいてもしょうがない。自分の個性を確立しなさい』ということです」
落語界に飛び込んで10年が経ちましたが、今後の展望を教えてください。
「片親で貧乏だった子供時代ですが、そんな暗いことも明るい話にできるじゃないですか、落語って。だから大好きなんです。おばあちゃんになったら、下ネタもできるようなかっこいい落語家になっていたい(笑)」
練馬に住んで十数年、大泉落語研究会やIMA寄席、エコスタイルフェアなど地元のつながりもでき、「いつかは自分が主催して地元で寄席を開きたい」と抱負を語ってくれました。その日を楽しみにしています!
(2017年2月21日)
ねり☆エコ主催の
「第6回ねりま・エコスタイルフェア」
屋外のトラックステージにて
落語を披露! 2016年10月
(写真提供:ねり☆エコ 練馬区地球温暖化対策地域協議会)
巣鴨の「すがも巣ごもり寄席」に
定期的に出演しています
浅六寄席で南京玉すだれを熱演
(写真提供:三遊亭 美るくさん)
三社祭にお囃子で参加。
粋ですね!
(写真提供:三遊亭 美るくさん)
落語協会のサーフィン部参上!
海、サーフボード、着物が
ミスマッチ(笑)
(写真提供:三遊亭 美るくさん)
美るくさんのサイン。
ミルクだけに牛がトレードマーク
IMA寄席の様子
(写真提供:三遊亭 美るくさん)
「彼氏⁉︎ いません。
それより、温泉に行きたい、
お酒を飲みたい」と美るくさん。
まだ結婚話はなさそうです(笑)
(写真提供:三遊亭 美るくさん)