#082 布絵(NUNOE)作家
水野 典子さん
公開:2013.08.01

切れ端の布でも特徴を活かし、
一枚の絵画をつくる楽しさ!
「NUNOE」とは、文字通り布の絵画。多彩な布を組み合わせ、1枚の絵に仕立てあげる、水野さん独自の手法です。絵の具とは違う布の素材感や立体感、配置の絶妙なバランス、パッチワークや刺繍の細やかさ、そして全体の世界観など…じいっと見入ってしまう、不思議な魅力にあふれています。
「厚い・薄い・透ける…布本来の風合いを活かしながら、自分なりの表現に仕上げていくのがおもしろいんです。変わった柄の布を見つけて、それが顔に見えたので、そこから発想を広げていったり。物語を作って、登場人物になりきるんです。四六時中、作品のことばかり考えていますね(笑)」
と、上品に微笑む水野さん。「作家!」と肩肘張ったところは全くなく、あくまで「家を守る主婦」というスタンスを崩さずに、自由な作風を貫いてきました。
「きっかけは、娘2人が小さい頃、パッチワークが流行り始めたことです。お洋服にアップリケを付けたりと、自己流でアレンジしていたら、楽しくなって…。娘たちは、『みんなと同じがいい! キャラクター物がいい!』って、あんまり喜んでくれませんでしたけれど(笑)」
親の愛は、なかなか子どもに伝わらないもの…。ちょっとせつない母心ですね。
「主人がサラリーマンなので、負担をかけないように節約の意味もあったんですよ。洋服の切れ端から主人のワイシャツまで、着られなくなったものを使うので、ほとんどお金をかけていませんでした(笑)」
それが友人たちの間で評判となり、「教えて」と頼まれるままに教室を始め、生徒が増えていきました。多いときで、30人もいたそうです。
転機となったのは、雑誌のコンクールでの受賞でした。それをきっかけに、小物づくりから、布絵づくりにシフトしていきました。
「思いつくままにどんどん作っています。デザインは大まかに考えますが、作りながら完成させていくんです。すごく楽しくて、1日中家にこもっても平気ですね。今は娘2人も巣立ち、仕事人間の主人も、ほとんど家にいませんから(笑)」
続けるのは“ただ、好きだから”
創作欲を支える家族の愛情
物作りをしていたら、あっという間に時間が過ぎる…、そんな素質の下地は、小さい頃にできたものでした。
「小さい頃から、自己流で袋物を縫ったりして、縫い物は大好きだったんです。小学校で、図画工作の先生が美術の道をすすめてくれて、両親もその気になってしまって(笑)。それで中学から、美術系の学校に進みました。大学では織物を専攻したんですが、制約が多すぎて自由な作品が作れなかった…。それで、卒業してすぐ結婚しちゃったんですよ(笑)」
流れる水のごとく自由に生きる水野さん。ご主人は、対照的な“企業戦士”。仕事であまり家にいないそうですが、だからこそ成り立っている夫婦関係があります。
「主人が家にいる時は作品を作らないようにするので、主人の場合、家にいないのが理解みたいなものですけど(笑)。でも、私の作品をすごく褒めてくれるんですよ。一言でおさまらないくらいに…、本当にホメ上手なんです」
水野さんの布絵の特徴は、身の回りの日常風景を題材にしていること。その中には、サラリーマンを描いた作品が多くあります。もちろんモチーフは、ご主人。作品からは、ご主人への愛情がにじみ出ているようです。2012年に開いた個展では、多忙なご主人も、いろいろと尽力してくれたそうです。
最後に、今後の展望を伺うと…。
「気負うと自分らしさがなくなるので、今のペースでずっと作り続けていきたいですね。私はただ、作るのが大好き…それだけなんです」
ひたすら「好き」を突き詰めて、自分だけの世界を切り拓いてきた水野さん。純粋だからこそ、彼女の布絵を見ると、ふんわり優しい気持ちになれるのかもしれません。
一枚の絵画をつくる楽しさ!
「NUNOE」とは、文字通り布の絵画。多彩な布を組み合わせ、1枚の絵に仕立てあげる、水野さん独自の手法です。絵の具とは違う布の素材感や立体感、配置の絶妙なバランス、パッチワークや刺繍の細やかさ、そして全体の世界観など…じいっと見入ってしまう、不思議な魅力にあふれています。
「厚い・薄い・透ける…布本来の風合いを活かしながら、自分なりの表現に仕上げていくのがおもしろいんです。変わった柄の布を見つけて、それが顔に見えたので、そこから発想を広げていったり。物語を作って、登場人物になりきるんです。四六時中、作品のことばかり考えていますね(笑)」
と、上品に微笑む水野さん。「作家!」と肩肘張ったところは全くなく、あくまで「家を守る主婦」というスタンスを崩さずに、自由な作風を貫いてきました。
「きっかけは、娘2人が小さい頃、パッチワークが流行り始めたことです。お洋服にアップリケを付けたりと、自己流でアレンジしていたら、楽しくなって…。娘たちは、『みんなと同じがいい! キャラクター物がいい!』って、あんまり喜んでくれませんでしたけれど(笑)」
親の愛は、なかなか子どもに伝わらないもの…。ちょっとせつない母心ですね。
「主人がサラリーマンなので、負担をかけないように節約の意味もあったんですよ。洋服の切れ端から主人のワイシャツまで、着られなくなったものを使うので、ほとんどお金をかけていませんでした(笑)」
それが友人たちの間で評判となり、「教えて」と頼まれるままに教室を始め、生徒が増えていきました。多いときで、30人もいたそうです。
転機となったのは、雑誌のコンクールでの受賞でした。それをきっかけに、小物づくりから、布絵づくりにシフトしていきました。
「思いつくままにどんどん作っています。デザインは大まかに考えますが、作りながら完成させていくんです。すごく楽しくて、1日中家にこもっても平気ですね。今は娘2人も巣立ち、仕事人間の主人も、ほとんど家にいませんから(笑)」
続けるのは“ただ、好きだから”
創作欲を支える家族の愛情
物作りをしていたら、あっという間に時間が過ぎる…、そんな素質の下地は、小さい頃にできたものでした。
「小さい頃から、自己流で袋物を縫ったりして、縫い物は大好きだったんです。小学校で、図画工作の先生が美術の道をすすめてくれて、両親もその気になってしまって(笑)。それで中学から、美術系の学校に進みました。大学では織物を専攻したんですが、制約が多すぎて自由な作品が作れなかった…。それで、卒業してすぐ結婚しちゃったんですよ(笑)」
流れる水のごとく自由に生きる水野さん。ご主人は、対照的な“企業戦士”。仕事であまり家にいないそうですが、だからこそ成り立っている夫婦関係があります。
「主人が家にいる時は作品を作らないようにするので、主人の場合、家にいないのが理解みたいなものですけど(笑)。でも、私の作品をすごく褒めてくれるんですよ。一言でおさまらないくらいに…、本当にホメ上手なんです」
水野さんの布絵の特徴は、身の回りの日常風景を題材にしていること。その中には、サラリーマンを描いた作品が多くあります。もちろんモチーフは、ご主人。作品からは、ご主人への愛情がにじみ出ているようです。2012年に開いた個展では、多忙なご主人も、いろいろと尽力してくれたそうです。
最後に、今後の展望を伺うと…。
「気負うと自分らしさがなくなるので、今のペースでずっと作り続けていきたいですね。私はただ、作るのが大好き…それだけなんです」
ひたすら「好き」を突き詰めて、自分だけの世界を切り拓いてきた水野さん。純粋だからこそ、彼女の布絵を見ると、ふんわり優しい気持ちになれるのかもしれません。

石神井川の桜並木を
モチーフにした作品。
他にも、地元・練馬を
描いた作品が多数

2011年11月に開催した
個展の様子。ご主人も
尽力してくれたそう
(写真提供:水野さん)

展覧会で出した作品集。
水野さんの作品100点
以上が詰まっている

2008年から現在も、
表紙を飾っている月刊誌
『THEMIS(テーミス)』

袋物など役立つ小物も!

気に入らない部分は
何度でもやり直して
必ず完成させる。
だから作品への
愛着もひとしお!

階段の壁や部屋に
たくさんの作品が展示。
ギャラリーのようです!

水野さんは、優しさと
しなやかさをあわせもつ
素敵なご婦人です!
